普通建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約のメリットデメリット

2015年2月9日

普通建物賃貸借契約の基本内容


普通建物賃貸借契約は、「法定更新」という考え方の為、契約期間満了時に貸主が契約を終了させたい場合にも、正当自由がない限り、借主の契約更新を拒絶できないようになっています。
また、多少の契約違反や賃料の滞納等では正当自由として認められないケースが多く、貸主側が望んでいない場合でも、更新され、継続入居されてしまうという事態になります。
賃料に関しても、普通建物賃貸借契約では、一定の期間においての賃料の減額は有効でしたが、増額に関しては、不当に高い家賃でなけばという条件付きでした。
また、借主からの途中解約の申し出に対しても、普通建物賃貸借契約では、条件付きではあるにせよ解約を認めていました。

定期建物賃貸借契約の基本内容


定期建物賃貸契約とは、契約期間の満了と共に、契約の更新をせず契約が終了となる建物賃貸借契約のことを言います。
平成12年3月1日に施行された定期借家制度により導入されましたが、こちらは、貸主側に色々な点で有利な内容となっています。
例えば、契約の期間の終了と共に必ず契約自体が終了となり、改めて契約を締結する場合には、更新という形ではなく新しい契約となります。
また、契約期間を短期でも長期でも自由に定めることも可能です。
さらに定期建物賃貸借契約では、制限はなく賃料の増額、減額のどちらの場合でも無条件に有効となります。
定期建物賃貸借契約では、特別な事情がある場合を除き、借主の中途解約は認められなくなっています。
さらに、定期建物賃貸借契約は、再契約をしないことが前提となっている為、建て替え等の場合にも、立ち退き料を貸主が払う必要はありません。
このように、貸主にとってメリットの多い定期建物賃貸借契約ですが、デメリットも考えられます。
まず、契約は公正証書による書面でしなければならないと決められています。
これは普通建物賃貸借契約でも、大抵の貸主が契約書を出していますが、さらに、契約締結の前に、これから交わす賃貸借契約が「契約期間の満了と共に更新をせずに終了すること」を記載した書面を別に交付して説明をしなければならないと決められています。
その為、定期建物賃貸借契約は、契約のやり方に手間がかかるというデメリットがあります。
とは言え、貸主にとっては、デメリット以上にメリットの多い定期建物賃貸借契約ですから、できるだけ活用していきたいところでしょう。