良いオフィスを選ぶコツ

多額の費用をかけて移転するなら、できるだけ良いオフィスを選びたいものです。良いオフィスの定義は各企業によっても異なりますが、一般的には次のような条件が良いオフィス選びのポイントとなります。

エリア・立地条件

新しいオフィスを決める際に最初に選定しなければならないのがエリアです。選ぶエリアによって賃料やアクセス方法が変わります。日々の通勤の便や主要な取引先と行き来がしやすいかなども考慮に入れるべきでしょう。さらにエリアは企業のイメージにも影響するため、様々な条件を検討して選定することが大切です。

また、最寄り駅からの距離や時間などの立地条件も新しいオフィスを決める上で重要なポイントです。駅から物件まで実際に歩いて確認してみましょう。その際に、周辺環境をチェックすることも大切です。業務で利用する郵便局や金融機関をはじめ、買い出しのできるコンビニや休憩時間に食事ができそうな飲食店があるかも確認しておくことをおすすめします。

契約面積

オフィスの契約面積には、執務スペースのみの「ネット面積」とトイレや給湯コーナー、エレベーターホールなどの共有部分を含めた「グロス面積」の二通りの表示方法があります。

たとえば入居中のオフィスが「ネット面積(契約)」でも新しいオフィスは「グロス面積(契約)」である場合、現オフィスの契約面積を基準に考えていると、新しいオフィスの執務スペースが「思ったより狭かった」という事態が起きてしまいます。事前に契約面積の表示方法を確認しておくことが大切ですが、共有部分の広さは各ビルによって異なるため、オフィス選定の際には、ネット面積を基準にした方が良いでしょう。作業効率を上げるためにも、社員一人ひとりに必要なスペースをしっかり確保することが大切です。その他、通路幅や収納スペースも確保できることも確認しておきましょう。

オフィス環境

オフィスの環境は、社員のモチベーションや作業効率に大きく影響します。空調や照明の状態が適切かどうかを事前に確認しておきましょう。特に空調は、各フロアまたは各室ごとにコントロール可能な「個別空調」であれば、それぞれのオフィスで自由に設定することができます。使用していない時間にオフにしておくことも可能なため、費用面でもメリットがあります。

天井高も快適に業務を進めるための大切なポイントです。天井が低いと閉塞感をおぼえ、オフィスの快適さが損なわれる恐れがあります。また、柱の数や位置、床の仕様(OAフロアかどうか)もオフィスレイアウトを決める上で重要な条件となるため、事前に把握しておくようにしましょう。さらに、貸室内の色彩やデザインが企業カラーに合っているか、来客時に好印象であるかなどもよく検討することが必要です。

ビルの設備

ビルの設備やグレードは、来客時の印象や社員の仕事へのモチベーションに影響します。まずはビルのエントランスが明るく綺麗であるかを確認しましょう。次にエレベーター内の清潔感もエントランスと同様、貸室までのアクセス過程の中でビルの印象に大きく作用します。他には、給湯室やトイレの配置、またトイレが男女別かなどがポイントになります。さらに、エレベーターの台数や駐車場の有無、耐震設備、セキュリティなどについても事前にチェックしておくことをおすすめします。ソフト面ですがトイレ清掃を貸主負担で実施しているか否かも物件選定の判断材料になるでしょう。

予算

オフィスを選定する上で最重要とも言える条件が予算です。まずは予算の上限を決めて物件を探しましょう。毎月のランニングコストとしては、賃料の他に共益費(管理費)、水光熱費も必要になります。また、物件によっては貸室内の清掃費が毎月固定で発生する場合があります。それらを念頭に置いて予算を決定することが大切です。共益費に含まれている内容も確認しておきましょう。さらに、契約時に必要な金額についてもしっかり把握しておかなくてはなりません。一般的に契約時には、敷金(保証金)、礼金、仲介手数料、前家賃、前管理費、火災保険料、(物件によりますが保証委託料)を用意することが多くなっています。最後に更新(再契約)時に更新(再契約)料や解約時に償却費がかかるかもしっかりチェックすると良いでしょう。

不動産業者の選定

良いオフィスを選定するには、ビルオーナーとの仲介をする不動産会社(とりわけ営業マン)も重要です。物件紹介数、紹介スピード、紹介頻度、ニーズマッチ度、様々な場面で対応が迅速であること、仲介としての交渉能力などが良い不動産営業マンを見極めるポイントになります。会社にとって良いオフィスを選ぶことは、仕事の質や効率にも大きく関わります。社員のモチベーションアップはもちろん、企業のイメージアップにも繋がる快適で満足できるオフィスを選定するようにしましょう。

賃貸借契約書の条項

賃貸借契約書には普通賃貸借契約と定期賃貸借契約の2つがあり、最近は定期賃貸借契約が増えています。それぞれの大きな違いは契約期間満了時点で更新されるか終了となるかの違いです。詳しくは用語集でご確認ください。何れの契約にしても様々な条項が記載されています。なかでも重要なポイントは、解約予告期間です。事務所の解約予告期間には3ヶ月や6ヶ月が多くみられ、面積が大きくなるほど6ヶ月前予告になる傾向があります(定借の場合、解約不可の場合があります)。また違約金や原状回復もよく確認すべき条項になります。