オフィスビルの完成までの道のり

2018年6月15日

都心のビジネス街に行くと、多数のオフィスビルが林立しているのを目にします。
このオフィスビル、完成までにはどのような工程を辿るのでしょうか。
今回は企業が拠点を構える場所であるオフィスビルの完成までの道のりについてみていきたいと思います。

建築計画プラン作成


それではプラン作成の流れについて順番にご案内していきましょう。

事前調査
設計のための準備として建設場所の法規制に関わる情報を収集します。具体的には建設現場の敷地調査、上下水道、ガス、水道等のインフラの調査、地質調査、近隣の建物の調査、現地の埋設物調査を行います。

設計
事前調査が終わったら建物の基本設計図を描きます。近年は一般的にパソコンでソフトを使用して描くことが多くなっているようです。建物を立体的に3次元化して描くことも増えています。

見積書の提出
基本設計図をもとに、建物が完成するまでの予算を見積もり、提出します。

工程表の作成
提出した見積もりに了承が出たら、建物が完成するまでの工期のスケジュールを作成します。

建築を進めるための申請の届出
工事に取り掛かる前に建築確認の許認可を取ります。工事関係の計画書を作成し、行政に提出します。

契約の締結
ビルの建築の依頼者と建設会社との間で見積書、設計図、契約約款、契約書等をもとにオフィスビル建築の契約を交わします。

近隣への挨拶
建築現場の近隣の方々に建築予定の建物や施工期間等の説明を行います。

着工から竣工まで


上記の建築計画が完了したら、いよいよ着工に入ります。次は竣工までの流れを順番にみていきましょう。

鎮魂祭
安全に工事が進み、無事に建物が完成することを祈願して鎮魂祭を行います。

基礎工事
まず外部と工事現場の境を作るために防音、防塵効果のあるゲートを設置し、仮囲いをします。次に建物を支える杭を地盤に打ち込む杭打ちをしていきます。この杭工事の後には地下の構造体を作るための土工事に入ります。土工事では地盤を掘削する堀削工事を行います。その際、周囲の地盤が崩れないように山留めという作業をしていきます。山留めでは仮設の壁を設置して地盤を支えます。山留めに使用する壁にはシートパイルや親杭横矢板、ソイルセメント柱列壁、連続地中壁等があり、地下の深さや地盤の状態によって使用する板の種類を変更します。

地下躯体工事
次に建物の床、壁、梁等、構造を支える躯体工事を行います。上記の土工事完了後に、地下部分の地下躯体工事に進んでいきます。地下躯体工事では雨水や地下水の浸透を防ぐために地下壁を二重にする等の作業を行います。一般的な地下躯体工事は、まず山留め壁を設置し、切梁で支えて掘削していきます。深い部分の躯体から上の躯体へと下から上へ建物を建築していく工法です。

地上躯体工事
地下躯体工事の後には、建物の骨組みとなる鉄骨を組み立てていく作業を行います。タワークレーンによって鉄骨を吊り上げ、職人の手で鉄骨を組み立てていきます。骨組みが完成したら階毎にコンクリートを打設し、建物の肉付け作業が進められます。

外装工事
次に建物の外装工事が進められます。外装によって、ビルのイメージが大きく変わるためデザイン性が大切になってきます。また、外界と面している部分のため、風雨や日光等の影響を受けやすく耐久性、耐水性の強さが必要となります。具体的な作業としては、外装材の取り付けやタイル張り、窓サッシ・窓ガラスの設置作業等があります。外装工事の仕上げでは、吹き付け塗装や石張り等が行われます。

内装工事
天井・床・壁等の施工が内装工事です。ボード貼りやフローリング貼り、クロス貼り等が行われ、ドアの取り付け作業も進められます。

設備工事
建物を実際に利用するための設備の工事も大切な工程です。給排水・電気・ガス・空調等の他、駐車場やエレベーターの設置も行われます。

外構工事
そして最後には、建物の外回りの外構工事である排水工事、舗装工事、造園植栽工事を行います。外構工事が完了したら、足場を解体し、いよいよ建物が姿を現します。

建物の引き渡しの前には、消防設備や建築確認の検査が必要です。検査して問題が見つからなければ、発注者に竣工引き渡し書類を渡し、晴れて竣工となります。

以上のように、オフィスビルは様々な工程を踏んで完成します。ビジネス街に建ち並んでいる多数のオフィスビルは、工事に携わった人達の様々な想いが込められているのです。オフィス移転の際には、諸条件をよく吟味した上で入居後に後悔しないようにすることが重要です。そして、工事をした人達の想いを無駄にしないよう大切に利用していきたいですね。