オフィスの地震対策

2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など、近年日本では大地震の発生が目立っています。地震がいつやってくるかは誰にも予想できませんが、会社にいる時に大地震が発生しても、社員の安全を確保し、被害を最小限に抑えることが企業側に求められています。それでは、大地震に備えたオフィスの対策として、具体的にどのような点に気を付ければ良いのでしょうか。ポイント毎にみていきましょう。

オフィスレイアウトの見直し

オフィスの地震による被害は、家具や什器等のレイアウトを見直すことで軽減することができます。通路付近にはなるべく転倒しそうな家具類は設置しないようにしましょう。部屋の中央やデスク付近に背の高い家具を置かないようにすることも大切です。さらに、転倒した際、ガラスが割れないように窓の近くにも家具類は設置しないことをおすすめします。

またパーテーションはL字型に設置していると転倒リスクが高くなります。一方、コの字型やH字型に配置すると倒れにくいので、一度したパーテーションのレイアウトを見直してみましょう。また、デスクにはできるだけ転倒しにくい丈夫な物を選ぶことが大切です。文書類は電子化を図るなどして、書類の収納スペースを減らすことも検討しましょう。

家具の固定

オフィスレイアウトを見直したら、家具や什器類の固定を行います。2011年に発生した東日本大震災ではオフィスの室内で家具の転倒や落下、移動が見られたことが報告されています。特に高層階では、地震による揺れが大きくゆっくりであるため、オフィス家具の転倒、落下に加え、コピー機など重量のある什器も移動することが判明しました。家具類を壁や天井に固定して転倒防止措置を施すことはもちろん、コピー機などの重量のある什器にも移動防止措置をする必要があります。そして、万が一転倒防止措置が外れた場合にも被害が最小限で済むように家具、什器を配置しましょう。また、常にオフィス内を整理整頓しておき、家具の上には物を置かないようにすることも大切です。家具類は、なるべくしっかりした仕様の床や壁に固定します。家具と家具を上下、左右、背中合わせで連結しておくと転倒しにくくなります。鏡を設置している場合には、飛散防止フィルムを貼っておくようにしましょう。

避難通路の確保

避難通路の幅は1.2m以上が望ましいと言われています。廊下や通路に避難の際に障害となるような物が置かれていないか、通路幅がしっかり確保できているかを確認しましょう。避難階段までの距離は法律で定められており、またほとんどのオフィスには2つ以上の避難階段が設置されています。地震発生の際にスムーズに避難をするためには、貸室から避難階段までの避難経路を普段からよく把握しておくことが大切です。一箇所に人が集まって逃げにくくならないよう2通り以上の避難経路を考えておくようにしましょう。家具の転倒や上に置いた備品の落下などにより、扉が塞がれたりすることがないかチェックしておくことも必要です。

避難場所の確認

震災の際には、学校や公民館などが一時避難場所として利用されます。一時避難場所までの順路や一時集合場所なども、都区市町村が作成した防災マップを定期的に確認して社員皆が把握しておくようにしましょう。一時集合場所、避難経路は、道路や地域の被害状況を考慮して、一つではなく複数定めておくことが大切です。

ビルの耐震性の確認

1981年(昭和56年)6月に建築基準法施行令の改正によって新しい耐震基準(いわゆる新耐震基準)が施行されました。それ以降に建築確認を受けた建物に対して新耐震基準が適用されています。竣工までにかかる期間は建物の規模によって大きく異なりますが、当社では1983年以降に竣工したオフィスビルを新耐震基準適合と位置付けております。また、従来のオフィスビルは、地震が起きた際に揺れに耐え得る「耐震」を重視した構造に作られてきました。しかし、最近では「耐震」に加え、ビル内に制震部材を組み込んで地震の揺れを吸収しセーブする「制震」やビルと地盤の間に免震装置を設置して、建物に揺れを直接伝えないようにする「免震」の構造を導入したオフィスビルも増えてきています。また、社内の地震被害を小さくするために、耐震性の高いオフィスに移転をする企業も増加傾向にあるようです。自分の会社が入居しているビルの耐震性能についてもしっかり把握しておくようにましょう。

防災グッズの確認

非常用の防災グッズもオフィスにきちんと準備し、定期的に確認しましょう。防災グッズとして準備しておくと便利な物は、応急手当用品や食料、飲料などの他、懐中電灯、ホイッスル、ラジオ、スニーカーなどです。ホイッスルは、万が一ビルが倒壊して下敷きになった時などに鳴らして自分の居場所を周囲に知らせることができます。大声を出すと体力を消耗しますが、ホイッスルなら簡単に音が響くので便利です。サイズもコンパクトなので普段から携帯しておいても良いでしょう。また急いで避難する際に歩きやすいスニーカーを一足準備しておくのもおすすめです。

地震がいつ起きるかは誰にも分かりません。地震が発生しても、社員が安全に避難し、社内の被害を最小限にとどめられるように常日頃からオフィスの地震対策を万全にしておきましょう。